平成末のキロク
好きな人が結婚する。もしくはもう既にした、らしい。好きな人のことなのに時系列すら分からなくて、これは、この気持ちはいったいなんなんだろう、と考えてしまう。
以前から、彼のどこが好きなの、と聞かれても明言できない自分がいた。どこがって、うーん、それは分かんないけどでも全部好きだよ。全部を知らないのに全部が好きだなんて、どれだけ厚かましい話なんだって今じゃ笑えるけど、その時の私は、このあいだまでの私はそれが真実だと思っていたし、実際それでよかったのだ。知らないことに満足していて、だから結婚も知らなかった。知らされなかった。知れなかった。確証のない噂をひとつずつ事実を確認していくことしか出来なくて、じゃあいっそ彼から聞いたほうが幸せだったな。
失恋って何度かしてきた気がするけどさすがに結婚ってパターンは初めてで、だから色んなことを考えた。
そもそも越えてはいけないラインを越えたのは私。それに呼応したのは彼。好きって言わなかったのは私。でも好きって言えない状況でどうしたら良かったのかな。やっぱりそもそも踏み荒らした私が馬鹿だったんだな。でもじゃあ、彼のあの言動っていったい?
ずっとこれをぐるぐるぐるぐる考えて、でも答えは出なかった。あの言葉さえなければ、あの行動さえなければ、私が馬鹿だったで終わらせられた。
そんなこと考えすぎてふとこれは「執着」なんじゃないかな、って。私にしては長い間ずっと好きだから結婚しますなんて許せないんじゃないかなあ、この長い月日を除いて考えた時にはたして彼はマトモな人かなあ、あの時の私へのあの言葉は適切だったかなあ。
見逃していた少しの違和感をひとつひとつ思い出していたら、どんどん好きってなんだっけ、私の好きってこれじゃない気がする。そう思った。
もちろん全部が全部執着だとは思わないし、もしかしたらこれ以上傷つかないための自己防衛かもしれない。だけど今はそれ以上のことは考えたくないし、考える必要もない。私が今最優先すべきなのは自分のケアであって、相手の思惑とか結婚相手とか、そういうのじゃないのだ。自分勝手でワガママだけど、それは彼も同じこと。
彼は平成に置いてきました。
好きな音楽があればそれでいいんだって思った日のこと、鮮明に、克明に残したいから早急に更新するつもり。あくまでつもりだけど。
結婚おめでとうなんて一生言えないし、あの人を選んだあなたのことを心から軽蔑します。でも沢山助けられたな、楽しかったな。全部が嘘にはならないってことが苦しいな。
お前だけ幸せになれると思ってないので、よろしくお願いします。幸せになる確率10%以下です。
話聞いてくれた人達ありがとーっ先輩特にありがとーっ一緒にいてくれてありがとーっ